それはかなしみ、あるいはただくらやみ

“真っ暗で何も見えない。あまりに全部が黒なので、目を開けているのかどうか疑わしくなってきた。もしかするとぎゅっと閉じているかもわからない。ここにいることは、たまたまこれまで選んできた全ての結果なのか、それともこれまで自ら選んだと思っていた全ても、今この瞬間も、これからの全ても、何もかもがすでに決められた何かをなぞっているだけで、あたかも誰かの右手もしくは左手に握られたペンであり、インクが切れれば捨てられる運命なのか、そんな誰かが存在するのか、言葉が作り出した幻想に足をすくわれて思い知る、言葉などこの流れを縛る枷にすらならない。何かが、何かが暴れて外へ出たがっているけれど、使い捨ての言葉すらうまく使えない頭にはそれが何なのか言葉にできない。何なのかわからない。そうだ、例えるなら指先から心臓を目指すガラス片。ただの言葉。言葉は支配する。ただの音、空気の振動、言葉でかたどった「現実」で目隠しをされ、それがどこを探しても存在しないことにも、目隠しをされたことにも気が付かない、けれどそれを責める権利が誰にあるというのか?何かが、何かが暴れて外へ出たがっている。ただのちっぽけな、ここから勢い良く外に飛び出しても誰も気付かないような、けれどぐるぐるとこの身を巡る何かは、言葉にすればその瞬間に消えるのだから、そうしてしまえばいいのに、言葉を着ずとも確かにここにあるそれまで、言葉の奴隷になる必要などない。誰か、誰か。心を誰か喰い破ってくれ。”

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