「かみさま、だっこして」

“そもそもお前さん、神様なんて信じておらんじゃろ。
「なんてなあ、いるわけないよなあ。」
どうじゃろうなあ。
「もしいるんなら、とんでもなくつめたいにちがいない。だって、どんなに困っていても、くるしくても、ちっとも助けてくれやしない。なんでもできるくせに。」
お前さんのいう神様ってどこにおるんじゃろうな。でも、わしはここにおるぞ。お前さんが生まれた瞬間からお前さんのそばにずっとおった。
「せめて、さみしくてひとりぼっちの夜に、ちょっと声をかけてくれるぐらい、してくれたっていいじゃないか」
ほんとにそれをやられたらお前さん、腰を抜かしておどろいてしまうじゃろうが。
「いちどでいいから、ぎゅうとやってくれたら、ちゃんと神様がいるんだってわかるのに。きっともう、さみしくなんてないのに」
わしは、わしらは、ここにおる。
「…風がきもちいいなあ」
そうじゃろう。
「きれいな夕焼けだなあ」
気づいてくれたな。
「あんなところに花が咲いている」
あやつらも、お前さんが気づいてくれてよろこんでおるぞ。
「…はあ、そろそろ帰ろうかな。なんだかちょっとさっぱりした。」
またおいで、とみんな言っておるよ。

ああ、どうかゆっくりおやすみ。明日の日が、お前さんにとって安らかな一日であるように。
わしらはいつでもそばにいて、お前さんのこころのまなざしを待っておる。お前さんのこころに耳をかたむけておる。お前さんがさみしいとき、かなしいとき、怒りにふるえるとき、よろこびに涙するとき、いつも、いつでもお前さんの肩を抱き、頭をなで、ときには引き止め、そっと背中を押す。

気づいてくれなくてもよい。ことばにならないどこかで、わしらはちゃんとつながっているから。
いつも、いつでも見守っている。ただそれだけの存在でしかないけれど、わしらはここにおるよ。

どうか、この夜がお前さんにやすらかな眠りをもたらしますように。おやすみ。

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